【これで解決】複雑な分数を約分する方法!
【対象年次:中学一年~】
みなさんこんにちは!
中高生にも分かる数学のお時間です。
今回は数学検定1級で出題された、約分の問題を解説していきたいと思います。
「いや、約分とか小学生でもできるでしょ」と思ったそこのアナタ!
この問題を解いてみてください!
…どうでしょうか。
これを一瞬で約分できる人はなかなかいないんじゃないかと思います。
どれを試してもビクともしてくれません…
ではこういうとき、どうしたらいいのでしょうか?
それを解き明かすカギは、そもそも「約分」とは何なのかを考えることです!
例えば、やのように約分できる分数は、分子と分母により大きな最大公約数があります。
最大公約数がやのように小さな数であれば、一瞬で約分ができちゃいますが、そうでない場合にはその最大公約数を求めるところから始めなくてはいけません。
では、に話を戻しましょう。
もしこの分数が約分できるのであれば、とには最大公約数があるはずなので、それを仮にとしましょう。
このとき、ある自然数を用いて
と表すことができますね。
ではこの2つの数を引き算してみましょう。
ここでを素因数分解してみましょう。
素因数分解とは、ある自然数を「素数」だけの掛け算で表すことでしたね。
幸いなことにはとを素因数に持つので、やりやすいです!
は素数ですので、これで素因数分解終了です。
よって
となりますが、このときに該当するのはのみであることが分かります。
なぜなら、はとの最大公約数なのでとはの倍数でなくてはなりませんが、はの倍数でもの倍数でもないからです。
ここまでくればあと一息です!
との最大公約数はなので、
はで約分できるはずです。
実際にで約分すると、
となり、はどちらも素数でこれ以上約分できないので、これで終了となります。
一口に「約分」と言っても数学検定1級の問題ともなるとさすがに少し難しいですね…
今回の記事はここまでです、お疲れさまでした!
「中高生にも分かる数学」では数学が苦手な人にも非常に分かりやすい記事を心がけています。
他にもいくつか記事があるので、ご覧いただけると嬉しいです!
では、また他の記事でお会いしましょう!
√2^√2^√2...はいくつ?|無限べき乗塔の計算方法
【対象年次:高校一年~】
みなさんこんにちは!
中高生にも分かる数学のお時間です。
みなさん、パッと思いつくすごく大きな数字って何ですか?
自分は中学生のころ
2222...
と累乗の上にさらに累乗を重ねたらすごく大きくなるんじゃないかなあ、と考えたりしていました。
実際に試してみると
22=4
222=16
2222=65536
と少し繰り返すだけで、こんなに大きくなります。
これは「べき乗塔」と呼ばれるもので、計算方法にも注意が必要です💀
具体的に言うと、
2222=(22)22=422=(42)2=162=256
と左から計算するのは間違いで、
2222=224=216=65536
と右から計算するのが正しいです。
ちょっと複雑ですが、これが「べき乗塔」がすごく大きな数になる理由でもあります。
そしてこれを無限回繰り返したものが…「無限べき乗塔」です!
2222...
これがとんでもなく大きな数字になることは、容易に想像できますよね…!
もちろん無限に繰り返すので、その値も無限になります。
ではの平方根、で同じことを繰り返すとどうなるでしょう?
√2√2√2√2...
「いやいや、無限回やるんだから同じく無限だろうが」と思いますか?
…実はこの値は有限なんです。
にわかには信じられないかもしれませんが、
なぜこの値が無限ではないのか、そしてその値は何なのか、わかりやすく解説していきますのでお付き合いください!
では最初に、今回求めたい値は
√2√2√2√2...
なので、これを仮にとおくことにしましょう。このとき、
√2√2√2√2...
ですが、赤文字の部分もと等しいことが分かりますでしょうか?
決められた回数しか計算を行わない場合にはこれは成り立ちませんが、
今回は無限回の計算を行うので、も赤文字の部分も形式上ほとんど同じということになります!
というわけで、
という式が成り立ちますね。
ではこれを満たすの値はどうなるでしょう?
ここではグラフを利用しての値を求めてみます。
具体的にはとのグラフの交点を求めればよいですが、GeoGebraという非常に便利なサイトがあるので使っていきましょう!
https://www.geogebra.org/calculator
さて、とを平面に描いてみました!
そしてこのとき2つのグラフの交点はとだということが分かります。
ということは…さきほどの式を満たすの値はとなります。
実際に代入すると、確かに成立していることが確認できますね!
すなわち、
√2√2√2√2...または√2√2√2√2...
ということですね!
って…値が2つあるってオカシイやろ!
はい。すみません。この方法だとかであることが分かりますが、どっちなのかまでは分かりません…
どうしたらいいのでしょうか?
では、今度は不等式を使って考えていきましょう。
さきほど描いたのグラフを見てみてください。
このグラフは右肩上がり、すなわちが大きくなればなるほど、の値が大きくなっていきます。
これは
と言い換えることもできます。
このは非常に重要ですので、頭の片隅にしっかり詰め込んどいてくださいね!
ではここで、次のような不等式を考えます。
1<√2
この不等式が正しいことは、であることから簡単に分かります。
ではこの不等式にを適用してみましょう。
と置き換えて考えると、
√2<√2√2
という式を導くことができます。
さて、新たに得られたこの不等式にさらにを適用するとどうなるでしょう?
と置き換えて考えると、
√2√2<√2√2√2
という式が新たに得られます。
勘のいい人はもう気付いてしまったかもしれませんが、これを何度も繰り返していくと、
√2<√2√2<√2√2√2<√2√2√2√2<...
という不等式が出てくるのです!
この式により、べき乗塔の個数が多ければ多いほど、その値は大きいということが分かりますね!(これは直感的にも理解しやすいです)
ではここで、べき乗塔
√2√2√2√2...√2
と、べき乗塔の最後のをに変えたバージョン
√2√2√2√2...2
の大小を比べてみましょう。
分かりやすくするために、例として√2√2√2と√2√22の大小を比較します。
はい、ここでまたを思い出してみてください。
でしたよね!
これを読み替えると、
ということが推察できます。これを先ほどのの大小比較に当てはめると、
√2√2√2と√2√22の大小を比べるには、√2√2と√22の大小を比べればよい
ことになります!
さらにさらに畳みかけるようにをもう一度使えば、
であることが分かりますから、最終的に√2√2√2と√2√22の大小比較は
√2√2√2<√2√22
となります。
これを応用していくと、
√2√2√2√2...√2<√2√2√2√2...2
であることも分かります。(べき乗塔の最後をに変えたバージョンの方が大きい)
これで一件落着…にはまだ早いです。
今度はこの不等式の右辺を計算してみましょう!
べき乗塔の計算は右上の累乗から計算していくルールがありましたね!
√2√2√2√2...2
=√2√2√2√22
=√2√2√22
=√2√22
=√22
=2
すごいですね。気持ちいいくらいに次々とが溶けていき、最終的にになってしまいました!
ということは、
√2√2√2√2...√2<√2√2√2√2...2=2
√2√2√2√2...√2<2
となります。そしてこの不等式はべき乗塔のをいくら増やしても変わりません!
さてここで一旦、判明した事実についてまとめましょう。
①の無限べき乗塔の値はか
√2√2√2√2...=2 or 4
②のべき乗塔は増やせば増やすほどその値は大きくなる。
√2<√2√2<√2√2√2<√2√2√2√2<...
③の無限べき乗塔はより小さい。
√2√2√2√2...<2
以上3つの事実により、√2√2√2√2...は一定の値に近づき、その値はであることが分かりました!!
お疲れ様です!!
√2√2√2√2...=2
みなさん、スマホの電卓などでこれを計算してどんどんへ近づいていく様子を確かめてみてくださいね!
いかがでしたでしょうか?
すごく大きな数を作るために考えた無限べき乗塔が、無限ではなく有限でしかもと小さな値になる場合があるというのは意外でしたよね!
数学はしばしば直感に反することがあるので、しっかりその都度検証していくことが大切です!
「中高生にも分かる数学」では数学が苦手な人にも非常に分かりやすい記事を心がけています。
他にもいくつか記事があるので、ご覧いただけると嬉しいです!
では、また他の記事でお会いしましょう!
【絶対に理解できる!!】カルダノの公式|三次方程式の解の公式
【対象年次:高校二年~】
みなさんこんにちは!
中高生にも分かる数学のお時間です。
突然ですがみなさん、二次方程式の解の公式はご存じですか?
…はい、そうです。
ということでした。
では、二次方程式だけではなく「三次方程式」にも解の公式があることはご存じでしたか?
別名「カルダノの公式」と呼ばれるこの解の公式は、複雑すぎて実用性は低いですが、確かに存在することが証明されています。
今回はそんな三次方程式の解の公式について、それはどんな形の式なのか?どうやって導き出すのか?
絶対に理解できるように丁寧に解説していきますのでぜひ最後までご覧ください!
間違いなく、どのサイトよりも分かりやすいと自負しております!!
①1の三乗根ωについて
まず三次方程式の解の公式を導き出す前の準備として1の三乗根について説明させてください。
もうすでに知ってるという方は飛ばしていただいて構いません!
とりあえず、1の三乗根の意味から考えてみましょう。
1の三乗根とは「三乗すると1になる数」のことです。…そのまんまですねw
ではそれは具体的にはどんな数でしょうか?まず真っ先に思い浮かぶのは…
そう、1ですね。1それ自体も1の三乗根の一つになります。(13=1ですからね!)
では1以外に1の三乗根はあるでしょうか?
「ないんじゃね?」と思った方、…半分正しいです!
確かに実数の範囲には1の三乗根は1以外にありませんが、複素数の範囲まで考えるとどうでしょう?もしかしたらあるかもしれませんよね。
では1の三乗根を求めるためにこんな方程式を考えてみましょう。
これを解けば1の三乗根が全てわかりそうです!
まずは移項して、因数分解してみましょう。
因数分解はを使いました。
ではここで、方程式を解くうえで非常に重要な基本事項を使いましょう。
その基本事項とは、
のことです。
掛け算で0になるときは掛ける前の数のどちらかが0という性質ですね!
これを使えば、
または
ということになります。
はということで問題ないですが、もう一つは二次方程式になってますので二次方程式の解の公式を使って解いてみましょう。
ですので、
となりますね!そしてこの2つの複素数(プラスとマイナスで2つ)も1の三乗根であるはずです。
気になる人は実際に三乗してみてください!
さて、複素数の範囲まで考えると1の三乗根は
の3つあることが分かりました。
このうちをと呼ぶことにしましょう。
ちなみにこの名づけ方はのような変数的命名ではなく、どちらかというとのような定数的命名だということにご注意ください。長くて書くのが面倒臭いので、特別に文字で置き換えているという感じです。
ここで、1の三乗根を含む計算で使える便利な性質を見ていきましょう。
まずは1の三乗根なので当たり前ですね!
そしてはが方程式の解の一つであることを思い出すと理解できます。
(方程式には解を代入すると成立するという性質があります!)
そしてこのとき、だけでなくも1の三乗根になっていることがわかります。
なぜならであり、
確かに三乗すると1になっていますよね。
ちなみにしっかりになってます!
よって、次のことが言えます。
さらに、とを足すとになることも覚えておいて損はないでしょう。
この性質は
から分かります。
②ωを利用した三次式の高度な因数分解
ではセクション1で説明した1の三乗根を利用して三次式を因数分解してみましょう。
因数分解は一般的な意味では「実数の範囲」での因数分解のことを指しますが、ここでは複素数の範囲の因数分解を考えてみます。
例えば、
は実数の範囲ではどうやっても因数分解できませんが、
複素数の範囲では虚数単位を使って、
と無理やり因数分解することができます!
ではここで三次式
を因数分解してみましょう。
まずは実数の範囲で以下のように因数分解できます。
なかなか難しい因数分解ですが、頭のいい人なら簡単にできるかもしれません。
そしてここからさらにを使って複素数の範囲で以下のように因数分解できちゃいます!
んー、難しい!
このように無理やり因数分解することはあまりないですから、拒否反応が起きてしまうかもしれませんが、実はこの因数分解こそが三次方程式の解の公式を導き出す過程で最も重要なポイントであると言っても過言ではないでしょう。
ここでは計算しませんが、この因数分解が本当に正しいかどうか判断するためには括弧を外して展開していくといいと思います。
とであることに注意すればちゃんと計算できるはずです!
ではまとめです。
③三次方程式の変形(立方完成)
三次方程式の解の公式を求めるために、一般的な三次方程式がどのような形をしているのか考えてみましょう。
二次方程式の解の公式を出すときに想定する二次方程式の一般形を思い浮かべれば、答えは簡単です。
これと同じように考えて、
となります!
そして、この三次方程式の一般形に対して
という式にできれば、それが三次方程式の解の公式となります。
ではこの複雑な方程式を少し簡単にするために「立方完成」という操作をしてみます。
この「立方完成」はと変形することではなく、「次数が2の項を消去する」という操作であることにご注意ください!
具体的にどうすればいいかというと、
を代入しての式からの式に変形してください。
こうすることで、次数が2の項がうまく消えてくれるんです!
ではここからは実際の計算になります。
まず両辺をで割って、
ここでを代入し、
括弧を展開し、ミスしないように計算してうまくまとめると
となります。ここで、
と置き換えれば、
と簡単な形になりました。
ここであくまでもは全く関係ない値ではなく、で表されるということに注意してください。
という感じで、計算はだいぶ省きましたが
ということが分かりましたね。
そして狙いどおり次数が2の項が消えてくれました!
先ほども言った通り、目標はを求めることですが、なので
を求めれば自動的にを求めることができるので、ここからは元の方程式の代わりに
を解けばいいということになります!
④解の公式の導出
突然ですが、ここで三次方程式
について考えてみます。これはセクション2で紹介した因数分解を使えば、
と変形できますね。
そしてセクション1で紹介した、方程式を解く上での基本事項を思い出してください。
これは掛け算で0になるときは掛ける前の数のどちらかが0という性質でした。
ここで、これをさらに応用すれば
ということがわかります!この性質を使うと、
ならば、
となります。
2つの方程式の接続/変形
今度は三次方程式を
三次方程式に接続してみましょう。
「いきなりそんなこと言われても…」と思うかもしれませんが、これも非常に重要なステップです。
ちなみにここでいう”接続”とは、簡単に言えば「に適切な数を代入してに変形する」ということです。
では具体的にどのような数を代入すればをに変形できるのでしょうか。
見通しとしては、を変数に移し替えて、を定数に移し替えていくイメージです。
なんだかフワッっとした説明で申し訳ないですが、計算過程を見た方が分かりやすいと思うのでとりあえずやってみますね。
まず単純にで置き換えます。すると、
となります。これだと分かりにくいので項を並び替えてみましょう。
こうして見ると、だいぶに近づいてきたと思いませんか?
さらにここで、
と置き換えることによって、
に変形することに成功しました!ごちゃごちゃしてきたので一旦まとめますね。
また、と置き換えましたが、
これでは具体的なの値が分かりません。
なのでこの関係式からを求めてみましょう!(具体的にはをを含んだ式で表します)
Y,Zをpおよびqの式で表す
まず、をについて解くと、
となりますね。そしてこれを
に代入すると、
となります。ここまでは大丈夫でしょうか?
そしてこのままではが分母にあって扱いにくいので、を両辺に掛けて、
という式になりました。
「…いや、3次方程式解こうとしてるのに6次方程式出てきてしまってるやん…」と思われてしまうかもしれませんが、そうなんです。
3次方程式の解の公式を導くには、一度このような6次方程式を経由しないといけないのです…複雑ですね。
しかし、この6次方程式はある工夫をすればそこまで大変な方程式ではありません。
ではどのような工夫をすれば解けるのか。それは「を1つの文字として見る」ということです!
具体的に式で見ると、
ということです。
こうして見ると分かりますが、この方程式はに関する二次方程式とみなすことができますね!
では実際に解の公式を使って解いてみると
分母にあるをの中に入れて計算すると、
となりました!なんだかそれっぽくなってきましたね!
では今度はの値も求めてみましょう。にこれを代入すると、
ここで、の前にある符号がではなくであることに注意しましょう。
こうしての値が分かりましたが、みなさんはこの2つの違いが「の前にある符号が互いに逆である」だけなことに気づきましたでしょうか?
そして、このことから
のとき
のとき
となることがわかります。
さらにこのは「対称」であるため、符号を勝手に決めてしまって構いません。
ですからここでは、
とすることにします。
「対称」であることは「入れ替え可能である」こととほぼ同じ意味ですが、詳しくは下で解説しておきますので、よく分からないという方は参考にしてみてください!ちなみに、この記事ではを入れ替えても最終的に意味が全く変わらないようになってますので、よかったら確認してみてください。
〈対称 と 対称式 とは〉
ある式の中で、入れ替えても式の内容が入れ替わらない文字があるとき、その文字同士は「対称」であるといいます。
そしてその式のことを、その文字同士における「対称式」といいます。
そして「対称」である2つの数には自由に条件を設定できる場合があります。
例えば、「和が5,積が6になる2つの数は?」と聞かれたときにという式を立てると、
またはという答えが得られますが、実質求められているのはという答えだけなのでがどっちか?がどっちか?ということはどっちでもいいですよね?
だから便宜上にしちゃおう!と考えてもいいわけです。
そしてこうなるのは、が「対称」すなわち「入れ替え可能」であるからなのです。
話を元に戻しましょう。
としたので、ここからさらにを求めましょう。
本当はもう少し慎重に考えなくてはなりませんが、
ここでは単に三乗根をとることでを求めることにします。
ちなみに三乗根とは「三乗すると元の数になる数」のことで、
平方根をで表すのに対し、三乗根はで表すことができます。
ということではそれぞれ、
となります!
さあ、ここまでくれば解の公式まではあと少しです!
解の公式の導出
ここで少し前の話を思い出してください。
三次方程式は因数分解することで、
と変形できて、このとき
となるのでした。
また、三次方程式は、
と置き換えることによって、
に変形することができるのでしたね。
そしてこのとき、
となるのでした。
この2つのことをまとめると、
かつ
なので
または
または
となります。
ここからさらに、立方完成時に使った
すなわち
を代入し、
または
または
最後に移項によりの形にすることと、の中にマイナスの符号を入れることができることに注意して並び替えると、
どうでしょう!
確かにこれはになっていることが分かりますね!
そしてこれが「カルダノの公式」と呼ばれる三次方程式の解の公式になります。
これがあれば、どんな三次方程式も一応解くことができるわけです!
まあ…複雑すぎて覚えられませんけどね…
やはり、この解の公式を導く上で最も重要になってくる部分は
を
と因数分解できることでしょう。
方程式を解くことは「『対称性』を崩すことだ」と言われることがありますが、この因数分解の正体こそ正にその「対称性の崩れ」だと思います。
なぜなら一段階前のという形でははどれを入れ替えても式の意味は変わらないのに、
とさらに1の三乗根を使って因数分解することによって、およびは互いに入れ替えられなくなってしまっているからです。
いやあ…興味深いですね…
さて、いかがでしたでしょうか?
かなり長々しい記事になってしまいましたが、それだけ三次方程式の解の公式を導出することは骨が折れる、ということですね!
もし、この記事が三次方程式の解の公式の導き方を理解するための助けになれたら幸いです。
「中高生にも分かる数学」では数学が苦手な人にも非常に分かりやすい記事を心がけています。
他にもいくつか記事があるので、ご覧いただけると嬉しいです!
では、また他の記事でお会いしましょう!
モンティホール問題|「確率の直感に騙されるな!」
【対象年次:中学二年~】
みなさんこんにちは!
中高生にも分かる数学のお時間です。
今回は「モンティホール問題」という有名な確率の問題に関する記事です。
この問題は中学生で習う範囲でも十分に理解できるのに、世界中の人々が騙されてしまったという何とも癖のある問題だったと言われています!
本質は簡単なのに世界の有名な大学の教授ですら騙されてしまったというのは、確率の「怖さ」や「面白さ」を感じることができて何だか面白いですよね。
では早速、モンティホール問題とはどのようなものなのか分かりやすく説明しましょう。
これが世を騒然とさせた「モンティホール問題」です。
ちなみに、3つの箱のうちボブが中身を見せてくれる箱は必ず「何も入っていない箱」なので、今残っている2つの箱のうちどちらかには必ず100万円が入っていることになりますね。
「…いや、どっちでも同じやん。中身わかんないんだから」と思いますか?
お恥ずかしながら、僕も最初は「同じやん。どっちもじゃないの?」と思っていました。
しかし、これがこの「モンティホール問題」の深い深い落とし穴なのです…ガクブル
結論から言うと、なんと
のです!!!
…マジでヤバいですよね。(笑)
直感では間違いなく変えようが変えまいが確率は変わらないのに、真実は直感とは全く異なる結果になってしまうのです( ゚Д゚)
(逆に直感でこれが分かった方、才能あります)
信じられない人は近くにいる人を誘って実験してみるといいでしょう!(紙を3枚用意して〇を1つ,✕を2つ書けば再現できます。あなたがボブ役をやってあげてくださいw)
「最初に選んだ紙から絶対変えない場合」と「必ず最初に選んだ紙から変える場合」をそれぞれ10回ずつやってみると、
おそらく「絶対変えないときの〇を当てる確率」は「必ず変えるときの〇を当てる確率」の半分くらいになっているのことでしょう…
では、なぜそんなおかしなことになるのか(実際には何もおかしくないんだけど)解説します!
意外と考え方の本質は簡単です。次のように考え方を変えてみましょう。
①あなたが最初に選んだ箱から変えないときに100万円を当てられるのは、あらかじめ3つの箱のうち1つあるアタリの箱を選んでいた場合なので、その確率は
になります。当たり前っちゃあ当たり前ですねw
②あなたが最初に選んだ箱から変えたときに100万円を当てられるのは、あらかじめ3つの箱のうち2つあるハズレの箱を選んでいた場合なので、その確率は
になりますよね!
どうですか?確かに②の確率(変えたときに当たる確率)は①の確率の(変えないときに当たる確率)の2倍になってますよね。
ということで、再度選択権を与えられた際には「最初に選んでいない方の箱に変えた方」が2倍得するということになります!
このように、確率の問題では「直感」と「結果」が大きくズレる事例が多々あります。
この「モンティホール問題」も見方を変えれば単純なのに、ボブのような変な登場人物が現れると惑わされてしまいます…
なので、みなさんも確率の問題を考えるときはよくよく注意しましょう。
確率の世界では正しいと思える直感ですら、真実とは限らないのですから…
「中高生にも分かる数学」では数学が苦手な人にも非常に分かりやすい記事を心がけています。
他にもいくつか記事があるので、ご覧いただけると嬉しいです!
では、また他の記事でお会いしましょう!
自然数の分割|美しい数の性質をご紹介!!
【対象年次:中学一年~】
みなさんこんにちは!
中高生にも分かる数学のお時間です。
今回は自然数の「分割」についてお話したいと思います。
この記事は小学校高学年の方でも一応理解できるようになっていますので、ぜひ最後までご覧ください!
まず、自然数の「分割」とは何でしょうか?
「なんか難しそう…」と思われてしまいそうですが、その定義は意外にも簡単です。
これはどういうことでしょうか?
例があると理解しやすくなると思いますので、例えばの分割について考えてみましょう。
なので、の分割は
の4通りであることが分かります。
※海外では自体を分割に含め全体で5通りとする理論もありますが、
日本で「自然数」の意味はを含まないことになっているので
今回はを「分割」には含めないこととしておきます。
このように「分割」とは同じ数を使ってもよく、何回足し算記号を使って表してもよいですが、
のような、ただ順番を変えたようなものは同じとみなすルールがあります。
さて、「分割」というものを説明しましたが、
「正直、だから何なの?」という気持ちになると思います。
しかしここで言いたいのは、重要なのは「分割の方法」よりもむしろ「分割のパターン数」ということです。
先ほど例に挙げたの分割について考えてみましょう。
の分割は
であるとわかりました。このとき分割のパターンは4種類なので、次のような数式で書くことにします。
この数式の意味を言葉で説明すると、
「を分割したときのパターン数はである」
ということです。
一般的に自然数を分割のパターン数をと表します。
たとえばは
のように分割されるので、ということになりますね!
そして今回ご紹介したいのは分割の中でも特に、「2つの自然数の和で表す分割」についてです。
例としては
などのことです。
このような分割を特別に「二分割」と呼ぶことにします。
また、自然数の二分割のパターン数をを表すこととしましょう。
定義の紹介が多くて申し訳ありませんが、今後の話をスムーズにするためにご了承ください…!
では、例としての二分割を求めてみましょう。
順番を変えただけのものは同じとみなすので、
の10通りであることが分かりますね。
よってと表すことができます。
他には奇数であるも二分割すると、
の4通りであることが分かります。
同様にと表すことができますよね。
ここから推察すると、次のような事実が分かります。
これはなんとなく正しそうだし、実際に正しいです。
ここでは証明しませんが、の二分割を見ればほとんど証明できたようなものだと思います。
どうですか?ここまではまだ簡単ですよね。
では今度は二分割した自然数同士が互いに素(最大公約数が1)になるような分割を考えてみましょう。
また、このような分割を特別に「相素分割」と呼ぶことにします。
二分割した後の自然数が互いに(相互に)素であるような分割なのでこのように呼びます!
さらに、自然数の相素分割のパターン数をを表すこととしましょう。
の相素分割は先ほどの二分割のうち、互いに素であるものを選べばいいので、
となり、となりますね。
の相素分割も同様に、
となるので、となります。
…いきなり法則性がつかめなくなってきましたね。
頭のキレる人はもう法則性を見つけているかもしれませんが、
法則性が見つけられない人はもう少し一緒に例題を見ていきましょう。
ではまず、を二分割すると
となり、となります。また、相素分割は
となり、これもまたとなります。
では次に、を二分割すると
となり、となります。また、相素分割は
となり、これもまたとなります。
はい、どうでしょうか?
は素数で二分割と相素分割が全く同じ分割になりました。
すなわち二分割後の数が常に互いに素となっているということです。
ではこのようなことはなぜ起こるのでしょうか?
ここで、素数を二分割した後の自然数が常に互いに素であるということを「背理法」用いて証明してみましょう。
もとの命題が間違っている、すなわち
素数を二分割すると、互いに素でない2つの自然数によってと表される場合があると仮定します。
このとき、は互いに素でないのでその共通因数をとすると、
と表すことができるので
となりますが、なので
が2以上の自然数の積で表されることになりますよね。
これはが素数であるということに矛盾してしまいます。
よって仮定が間違っており、元の命題が正しいことが分かるのです。
このことから、素数を二分割したときの2つの自然数は常に互いに素となり、
その結果「二分割」と「相素分割」が完全に一致するわけです。
もちろん分割のパターン数も等しくなるのでとなるのです。
さらに2以外の素数はすべて奇数であり、そのときだったので、次のようなことが言えます。
ということが分かりました。
もちろんの場合はであるので
ということができます。
では素数ではないなどの自然数の相素分割はどのように表すことができるのでしょうか?
先ほども述べたように、の二分割と相素分割は
となります。ここで二分割のうち相素分割ではないものに着目してみましょう。
この括弧のなかの分割はの約数であるの二分割になっていることが分かります。
同様にの二分割と相素分割は
であり、分割のうち相素分割ではないものに着目すると、
であり、括弧の中の分割はの約数であるの相素分割をすべて網羅していることが分かります。
このことから、の二分割のうち、約数であるの相素分割の分を差し引けばの相素分割のパターン数となることが示唆されますね!
式で表すなら、
となります。
ヤバい、話についていけないという方のためにの相素分割についても解説しておきましょう。
については素数なので、二分割と相素分割は一致し、
より、
となることが分かるでしょう。
については
のうち相素分割であるものは、のみなので
となり、
については
のうち相素分割であるものは、なので
となりますね!
ここで、ちゃんと
となっていることにことにも気づきましょう!
再び
に着目しましょう。
この式のを移項して両辺にをかけると、
となり、この右辺にを足しても式は変わらないので、
となります。
ここではこれ以上分割できないことを考えるとその分割のパターン数はと考えることができるので、
となり、
に代入して、
という式を得ることができました!
この法則をまとめると、
となります。
ああ~、非常に美しい式ですね…!
ちなみにこの式の右辺は自然数の約数の個数分の項があることになります。
いかがでしたでしょうか?
自然数を2つの自然数の和に分解する「二分割」のパターン数が、その約数の「相素分解」のパターン数の総和で表されるのは何かロマンのようなものを感じずにはいられないですよねえ~…
「中高生にも分かる数学」では数学が苦手な人にも非常に分かりやすい記事を心がけています。
他にもいくつか記事があるので、ご覧いただけると嬉しいです!
では、また他の記事でお会いしましょう!
互いに素な数の「和」と「差」の性質
【対象年次:中学一年~】
みなさんこんにちは!
中高生にも分かる数学のお時間です。
今回は互いに素な2つの数の「和」と「差」の性質についてのお話になります。
その性質とは以下のようなものです。
ちなみに「互いに素」とはお互いに共通因数を持たないような数同士に対して使う言葉になります。
さて、この性質は色々な整数問題を解くのに非常に有用な性質ですが、
これは本当に正しいのか、証明していきたいと思います。
まずこの証明には「背理法」を用いることにしましょう。
背理法はその命題が間違っていると仮定して、その矛盾を示して間接的にもとの命題を証明することでした。
もとの命題が間違っているとすると、
となります。
ではまずとが共通因数を持つとして、その共通因数をとしましょう。
ここでを2以上の自然数としたのは、であればそもそもとは共通因数を持つことにならないからですね!
「共通因数」とは2以上の自然数という条件があり、1は共通因数とは言えないのです。
さて、このとき
と表すことができます。ではこの2つの式の引き算をしてみましょう!
もちろんはを因数に持つことになりますよね。
そしてよりの方が大きいのでとなり、は自然数です。
しかしこれではなので、もを因数に持つことになってしまいました。
これは「が互いに素」に矛盾するので、とが共通因数を持つという仮定が間違っていることが分かりましたね!
では、とが共通因数を持つと仮定するとどうでしょう?
…実はこれも同じように証明することができます。
先ほどの証明のにあたる部分をすべてに置き換えて考えてみましょう。
同様に証明することができるはずです!
というわけで、
ということが証明できましたが、
和ではなく、差についてはどうでしょうか?
もちろんこの場合もの大小関係に注意すれば和のときと同様に証明することが可能です。
具体的にはを考えるときにはという条件を付け加えれば自然数の範囲で共通因数を考えることができます!
さて、今回のまとめです。
ということが分かりましたね!
ちなみこの事実はほとんど自明(明らかに分かる)なので使う時はいちいち証明はしなくていいようです!
「中高生にも分かる数学」では数学が苦手な人にも非常に分かりやすい記事を心がけています。
他にもいくつか記事があるので、ご覧いただけると嬉しいです!
では、また他の記事でお会いしましょう!
コラッツ予想|【コード付き】Pythonでプログラミング作成してみた!!
【対象年次:中学一年~】
みなさんこんにちは!
中高生にも分かる数学のお時間です。
今回は数学上の未解決問題である「コラッツ予想」に関するお話をしたいと思います。
まず、コラッツ予想とはどんなものであるかご覧ください。
というものです。
これだけ言われてもわかりにくいと思うので、例題を考えてみましょう。
まず、17は奇数なので次の自然数は
となります。
この生成された自然数である26は偶数なので次の自然数は、
となりますね。
これを繰り返していくと、
という感じになります。
おおー!最終的には1になりましたね!
ちなみに矢印の個数が操作の回数なので17は9回の操作で1になるんですね。
(計算は自分でやってみてくださいね)
さて、これを見てもらうとわかるのですが
ある自然数が奇数だったときの次の自然数は増加しており、
ある自然数が偶数だったときの次の自然数は減少していますよね。
どういうことかというと、
のように左の自然数(計算前の自然数)が奇数なら、右の自然数(計算後の自然数)は左の自然数より大きく、
のように左の自然数が偶数なら、右の自然数は左の自然数より小さくなることが分かります。
これは奇数のときの操作、偶数のときの操作を見れば一目瞭然です。
という計算を行うので、自然数は大体倍され、
という計算を行うので、自然数は倍されるわけです。
このことから確率論的にはこの「コラッツ予想」は正しいと予測できます。
その理由を説明しましょう。
まず、自然数に対して何回か操作を繰り返したとします。
このとき
という事実を利用すると、奇数である際に行われる操作倍と偶数である際に行われる操作倍が大体同じ回数行われるはずなので、その回数をとすると、操作後にはは
という大きさになっているはずですね。
ここで操作の回数を増やしていくとはどんどん大きくなっていき、
それに従ってはどんどん減少していくことが分かります。
(これは、がの増加に従って減少するからです!)
よって何回も操作を行えば、 = はどんどん小さくなっていくので、
最後には1になるだろうと期待できるのです。
ですが、これはあくまでも確率的にそうなるだろうと予想できるだけであって、
実際にこの予想の正しさとは全く無関係であることには注意しなくてはいけません。
最初に選ぶ自然数によっては、操作後の数が奇数になることが多く倍される回数の方が優位になり、最終的にはどんどん大きくなって1にならない可能性も残されているのです。
また、操作を行っているうちにループが起こって1になることは永遠にないかもしれません。
このようにこの「コラッツ予想」は確率的なアプローチ以外で解決しなくてはならないのです!
というわけで、その第一歩として「Python」を使って、このコラッツ予想を研究するためのプログラムを作成しました。
以下の画像は以下の自然数に対して何回の操作で1になったかを示したものです。
各括弧の中に記載された情報は
[,]となっています。
先ほど例として示したは、確かに[,]となっているのが分かりますね。
さて、この表を見ていて気付くこととしては、
ということだと思います。
例としてはいくつもありますが、
[,],[,]や3つ並んだ[,],[,],[,]、
さらには交互に5つ連続で並んだ[,],[,],[,],[,],[,]などもあります。
これらの数の並びは偶然というにはあまりに出来すぎていると思います。
きっとこの裏には何か興味深い真実が隠されているのでしょう…!
また、以下の自然数に対して
横軸に,縦軸にをとったグラフを描くと以下のようになります。
比較的の値がの間に落ち着いている中、たまに突出しての値が大きな場合が現れていますね。
また、以下の自然数に対しても同様のグラフを描くと、
のようになります。
さっきより突出したの値は多くなっていますが、の大きさ自体はそこまで跳ね上がっているようには見えませんね。
そしてさらに飛んで以下の自然数に対しても同様のグラフを描きました。
激しく振動して塗りつぶされた青い領域はゆがんだ長方形のように見えます。
の振れ幅がそれほど大きくなっているようには見えず、上限があるようにも見えます。
を大きくしていくと、いつかの平均は頭打ちになるのでしょうか?
ううむ、興味深い…。
というわけでプログラミングを使うと膨大な量の計算ができるので、手計算では分からないようなことに気づくことができました!
今回の結果から予想できることを今度は数式を用いて証明していけたらいいなと考えております!
では最後に「Python」に使用したコードを貼っておきます。
私的利用の範囲でしたら、お使いいただいて構いませんのでよろしくお願いいたします!
import math import matplotlib.pyplot as plt import sys sys.setrecursionlimit(2000) def collatz(n): if n == 1: return True elif n % 2 == 1: return (3*n+1)/2 elif n % 2 == 0: return n/2 def c_process(n,RANGE=1000): lst = [] for i in range(1,RANGE+1): if n == 1: lst.append(i-1) return lst break elif n % 2 == 1: lst.append(1) elif n % 2 == 0: lst.append(2) n = collatz(n) def c_count(n,RANGE=1000): for i in range(1,RANGE+1): if n == 1: return i-1 break n = collatz(n) def c_staired(n): lst = [] for k in range(2,n+1): lst.append([c_count(k),k]) return lst def p_staired(n): lst = [] for k in range(2,n+1): lst.append(c_count(k)) return lst def c_plot(n): k = [ k for k in range(2,n+1) ] m = [] for c in p_staired(n): if c == None: m.append(0) else: m.append(c) plt.plot(k,m) plt.grid(color='grey') plt.show() print(m)
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