ガウス記号を含む方程式の解法‼
【対象年次:中学一年~】
みなさんこんにちは!
中高生にも分かる数学のお時間です。
今回は「ガウス記号」を含んだ方程式の解法について紹介したいと思います。
というか…そもそもまず「ガウス記号」ってなんだよって思う人が多いと思いますので、説明していきます。
「ガウス記号」の定義は、
いやいやよく分からんわ!とアレルギーが出てしまう人のために、例を示しますね!
例えばはどんな値になるでしょうか?
上記の定義に当てはめると、なので、この不等式の真ん中にあるをガウス記号に当てはめたの値はと等しいことになります。
この調子でやっていくと、
なので、
なので、
となりますね。
これらの例を見ると、の値はの整数部分と等しいということが分かりますね。
※円周率なので、の整数部分との値が等しいことが分かる
しかし、がマイナスのときはその整数部分の意味に注意しなければいけません。
がマイナスのとき、ガウス記号の定義に当てはめて考えると、
なので、
なので、
なので、
となります。
これはちょっと整数部分という感覚とは異なりますよね。
「の整数部分はなのになんでの整数部分はなの??」という疑問も沸いてくるのかもしれません。
ですがそもそも整数部分というものの意味を以下のように考えるとつじつまが合います。
例えばよりは大きいので整数部分とは言えず、それより小さいが整数部分となるわけです。
よくわからない人は下の図を見てください。
の左にあって最も近い整数であるがの整数部分ということになります。
そしてこのように「整数部分」を定義するのならば、ガウスの記号は実数の整数部分を表していることになるのです!
あくまで以下なので例えばとなることには注意です!!
これでガウスの記号については大体わかってもらえたと思います。
それでは本題に入ります。ガウスの記号を含む方程式についてです。
方程式と言えば1次,2次,3次といろんな次数の方程式がありますが、今回は一番簡単な1次方程式の解き方を紹介したいと思います。
例えばこんな方程式を考えてみましょう。
「たぶんが解なんだろうな...」と気づいたアナタ、才能あります。
はこの方程式の解の一つになります。なのでを代入すれば等号は成り立ちますからね。
しかし、この方程式にはもう一つ解があると言われたら困る人も多いのではないでしょうか?
ですからそんな皆さんに、もう一つの解を導くことのできるいい方法をここでお教えしましょう!
ではまず、この方程式が通常の1次方程式(例えばなど)と比べて厄介な点は何でしょうか?
そうです。
とは全く異なる文字として扱わなければならないということです。
がこれ以上計算できないように、も計算できないのです。
ではどうすればよいのでしょうか。
ポイントは「を整数部分と小数部分に分解する」ことです。
例えばの整数部分と小数部分はいくつでしょうか?
整数部分は先ほど紹介した通りですし、小数部分は整数部分ではない部分なのでとなります。
ここで少し機械的に考えると、「ある数の小数部分」とは「からの整数部分を引いて余ったもの」だということに気付くでしょう。
そしての整数部分はですから、
ということなります。
このときとの小数部分を例として考えると、
という感じになります。
ここでさらに言えることは、小数部分は以下の不等式を満たすということです。
これは、小数というものが1未満の数を表すことを考えると当然だと言えますね。
ちなみに小数部分がになるとき、その数は整数となります。
そして、このを整数部分と小数部分に分解する方法がかなり強力な効果を発揮するのです!
ではここでの小数部分をとしてみましょう。このとき、
移項して
が成り立つことがわかります。これを方程式に代入してみましょう。
となります。これをさらにについて解いてみましょう。
となりますね。
だから何?とか言わないでくださいね…汗
このように変形することでの範囲がわかります。いわば解となるの候補を絞り込むことができるのです。
思い出してください、はの小数部分でしたよね。
ということはもちろん、
を満たすわけです。
式2をを変数とする一次関数とみなすと定義域はなので、の値域は
となります。
分かりやすくするために、以下のグラフを使いましょう。
下図は横軸,縦軸であり、直線の赤い部分がの定義域である部分となります!
この赤い部分のうち一番上の部分は,一番下の部分はとなるので、値域はとなるわけです!
そしてここで注意してほしいのはが整数ということです。この不等式を考えるとのとりうる値は
しかないことがわかります。数直線を描くともっと分かりやすいかもしれません。
そして今度は逆に式1にをそれぞれ代入します。場合分けになりますが、根気よくやりましょう!
のとき
となります。なので、
です。
のとき
となります。同様になので、
です。
これは最初に見つけた解と同じですね!
よって
の解は
の2つとなるわけです。
この方法を応用すればガウス記号を含む基本的な一次方程式を解くことができます!
おさらい:
1.一次方程式をすべて左辺に移項し最も簡単な形にする。(項は3つになるはずです)
2.を代入する
3.代入後の方程式をについて解いてについての一次関数にする
4.の範囲からの範囲を導き、とりうるの値を挙げる
5.各の値に対しての値を求める
6.とが求められたのでの値も求められる
さて、いかがでしたでしょうか?
少し難しいですが、を解いて理解できたか確かめてみてください!
※ヒント①:をに代入すると、となる
→明らかに整数である部分はガウス記号の外に出せるため(は明らかに整数)
※ヒント②:の値によって式が変わるので、との2パターンで場合分け
→前者の場合,後者の場合として扱うことができる
「中高生にも分かる数学」では数学が苦手な人にも非常に分かりやすい記事を心がけています。
他にもいくつか記事があるので、ご覧いただけると嬉しいです!
では、また他の記事でお会いしましょう!