中高生にも分かる数学

他のサイトでよくある「数式で一般化した美しい数学」より「例題から理解してもらう親しみやすい数学」を目指しています。

【覚えておいて損はない!】平行四辺形の辺と対角線の関係性

【対象年次:高校一年~】

みなさんこんにちは!
中高生にも分かる数学のお時間です。

今回は平行四辺形の辺と対角線の長さに関する関係式について紹介したいと思います。
では、本題の前にまず図形の公式の中でも最も有名な公式「三平方の定理」から見ていきましょう。

三平方の定理
斜辺の長さをcとする直角三角形について、他2辺の長さをそれぞれa,bとすると
a^{2}+b^{2}=c^{2}が成り立つ。

f:id:exponential0805:20220225160321p:plain

また直角三角形だけではなく、どんな三角形に対しても成立する"余弦定理"というものもありましたよね。

△ABCに対して以下の3式が成立する。
 a^{2}=b^{2}+c^{2}-2bccosA
 b^{2}=c^{2}+a^{2}-2cacosB
 c^{2}=a^{2}+b^{2}-2abcosC

f:id:exponential0805:20220225160340p:plain

ではこれに対して、平行四辺形ではどのような公式が成り立つのでしょうか?
この公式はどんな平行四辺形においても成立するので、もしかすると図形の問題を解く際に役に立つかもしれません!

平行四辺形の辺と対角線の関係性:
平行四辺形において2辺の長さをa,bとし、2本の対角線の長さをp,qとすると
p^{2}+q^{2}=2(a^{2}+b^{2})が成立する

f:id:exponential0805:20220225161449p:plain

どうでしょう?中々綺麗で覚えやすい公式なのではないかと思います。
そしてこの公式は先ほど紹介した"余弦定理"で簡単に証明できてしまいます!
では、実際に証明していきましょう。

[証明]

f:id:exponential0805:20220225162139p:plain

2辺の長さを AB=DC=a,AD=BC=bとし、2本の対角線の長さを AC=p,BD=qとする平行四辺形を考える。
このとき、対角線 ACより対角線 BDのほうが長い (p≤q)こととする。
また、平行四辺形の大きな方の内角 ∠BAD=θとすると、小さな方の内角は平行四辺形の性質により ∠ABC=(180-θ)と表される。
このとき、余弦定理を持ちいると以下の2式が成立する。

 AC^{2}=AB^{2}+BC^{2}-2×AB×BC×cos∠ABC…(赤色の三角形)
 BD^{2}=AB^{2}+AD^{2}-2×AB×AD×cos∠BAD…(青色の三角形)

すなわち、

 p^{2}=a^{2}+b^{2}-2abcos(180-θ)
 q^{2}=a^{2}+b^{2}-2abcosθ

となる。これをcos=の式に書き換えると、

 cos(180-θ)=\frac{a^{2}+b^{2}-p^{2}}{2ab}
 cosθ=\frac{a^{2}+b^{2}-q^{2}}{2ab}

となる。
ここでcos(180-θ)=-cosθに気を付けて、この2式を足し合わせると

 cosθ+cos(180-θ)=\frac{a^{2}+b^{2}-q^{2}}{2ab}+\frac{a^{2}+b^{2}-p^{2}}{2ab}
 cosθ-cosθ=\frac{a^{2}+b^{2}-q^{2}}{2ab}+\frac{a^{2}+b^{2}-p^{2}}{2ab}
 0=\frac{2(a^{2}+b^{2})-(p^{2}+q^{2})}{2ab}
 0=2(a^{2}+b^{2})-(p^{2}+q^{2})
 p^{2}+q^{2}=2(a^{2}+b^{2})
 [Q.E.D]

いかがでしたでしょうか?
平行四辺形で二回余弦定理を使うことで、角度に依存しない辺と対角線の関係式を導き出すことができました。
"余弦定理"よりは汎用性が低いかもしれませんが、使うタイミングがあればぜひお使いください!

「中高生にも分かる数学」では数学が苦手な人にも非常に分かりやすい記事を心がけています。
他にもいくつか記事があるので、ご覧いただけると嬉しいです!
では、また他の記事でお会いしましょう!