中高生にも分かる数学

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iの平方根 √iは複素数?|虚数,複素数の話

【対象年次:高校二年~】

みなさんこんにちは!
中高生にも分かる数学のお時間です。

今回は虚数,複素数のお話になります。
パッと言われてこの2つについて説明できますか??
もしできなければ、まずは復習がてら虚数,複素数とはどんなものだったか見ていきましょう!
(分かる人は読み飛ばしちゃってOKです!)

虚数単位iとは以下のような定義がされています。

虚数単位iは2乗すると-1になる数で\sqrt{-1}と等しい

これは高校二年で習いますね。
どんな実数も2乗するとプラスになるはずなので、2乗するとマイナスになる数は実数ではない…
だからこれを「虚数」として定めたのでした。
一般的に「虚数」というと、このiが含まれた数のことをいいます。
ちなみに中学三年で学ぶ2次方程式の解の公式からも、この虚数が現れるときがあります。

 x=\frac{-b±\sqrt{b^{2}-4ac}}{2a}の√の中身
b^{2}-4acがマイナスになるとき解が虚数になるのでした。

では、一旦話を戻しましょう。
さらに、この虚数単位iを用いると複素数というものが定義できるのでした。

a,bを実数として、複素数a+biが定義できる

このa+bib=0のときiが消えるので「実数」、逆にb\neq0のときiが含まれるので「虚数」になります。
すなわち「複素数」とは「実数」と「虚数」を合わせたものだと言うことができます。

(複素数の世界)=(実数の世界)+(虚数の世界)

これが複素数の原型であり、このa+biの形で表すことのできない数は複素数ではないということになります。

ではここで虚数単位i平方根を考えてみましょう。
安直に考えれば、そのときその数は

\sqrt{i}

と書かれることになります。

あれ?でもこれ複素数a+biの形で表されていませんよね?
まさか、これは複素数には当てはまらない概念なのでは!?超越虚数だ!!!

…なんて考えていた時期が僕にもありました。
メチャクチャイタい奴ですねw
超越虚数ってなんだよ、中二病かよって感じですね(笑)

結論から述べると\sqrt{i}複素数です。
実際には約束事を決めて\sqrt{i}の意味を考えると複素数の形で表すことができるのです!
順を追って説明していきましょう。

まず\sqrt{i}の意味から考えてみましょう。
これを言葉に直すと2乗してiになる数ということです。
そんな数は複素数の世界にあるのでしょうか?

では\sqrt{i}複素数であると仮定して計算してみます。
このとき、

\sqrt{i}=a+bi(a,bは実数)

と表されることになります。
ではここでこの両辺を2乗してみましょうか

\sqrt{i}^{2}=(a+bi)^{2}
i=a^{2}+(2ab)i+(bi)^{2}
i=a^{2}+(2ab)i-b^{2}
i=(a^{2}-b^{2})+(2ab)i

となりますね!
ではここで両辺の実部(iがない部分)と虚部(iがついてる部分)を比べてみましょう。

左辺は言い換えれば0+1iということなので、
(左辺の実部)=(右辺の実部)(左辺の虚部)=(右辺の虚部)で式を立ててみると…

0=a^{2}-b^{2}
1=2ab

という式が完成します。
これを頑張って解いてみましょう! まず2つ目の式から。この両辺を2乗すると、

1=4a^{2}b^{2}

となりますね。
そして1つ目の式を移項すると出てくる

a^{2}=b^{2}

という式を代入してbを消去すると、

1=4a^{2}b^{2}
1=4a^{2}×a^{2}
1=4a^{4}
a^{4}=\frac{1}{4}
a^{2}=±\frac{1}{2}

ここで、aが実数ということを考えると
a^{2}=-\frac{1}{2}はあり得ないことが分かるので(実数は2乗してマイナスならないんでしたよね!)

a^{2}=\frac{1}{2}

ということは、さらにこの式の平方根をとって

a=±\frac{1}{\sqrt{2}}

となります!
あとはa^{2}=\frac{1}{2}なのでこれをa^{2}=b^{2}に代入すれば、

b^{2}=\frac{1}{2}

すなわちbaと同じく、

a=±\frac{1}{\sqrt{2}}

となりましたね。

ここまでの結果をまとめると、
i平方根\sqrt{i}=a+bi(a,bは実数)とすれば、そのa,bの値は

a=b=\frac{1}{\sqrt{2}}またはa=b=-\frac{1}{\sqrt{2}}

となり、ここからi平方根は2つあり、その値は

 \frac{1}{\sqrt{2}}+\frac{1}{\sqrt{2}}i,-\frac{1}{\sqrt{2}}-\frac{1}{\sqrt{2}}i

となることが判明しました!

実際に2乗してみても、
(\frac{1}{\sqrt{2}}+\frac{1}{\sqrt{2}}i)^{2}=(\frac{1}{\sqrt{2}})^{2}+2\frac{1}{\sqrt{2}}\frac{1}{\sqrt{2}}i+(\frac{1}{\sqrt{2}}i)^{2}=i
となります。(マイナスの方は自分で計算してみてね)

ということはi平方根は2つあり、
\sqrt{i}=\frac{1}{\sqrt{2}}+\frac{1}{\sqrt{2}}i
-\sqrt{i}=-\frac{1}{\sqrt{2}}-\frac{1}{\sqrt{2}}i
という複素数で表されることが分かりますね!

結果としてi平方根\sqrt{i}は超越虚数なんかでは決してなく、しっかりと複素数の形で表すことができるということになります。
ちなみにiの立方根(3乗するとiになる数)^3\sqrt{i}もしっかりと複素数の形で表すことができて、

 -i,\frac{\sqrt{3}}{2}+\frac{1}{2}i,-\frac{\sqrt{3}}{2}+\frac{1}{2}i

の3つあることが知られてます。
これも今回の求め方と同じように、

^3\sqrt{i}=a+bi(a,bは実数)として、その両辺を3乗することで

^3\sqrt{i}^{3}=(a+bi)^{3}
i=a^{3}+(3a^{2}b)i-3ab^{2}+(-b^{3})i
i=(a^{3}-3ab^{2})+(3a^{2}b-b^{3})i

の実部、虚部を比べて式を作っていけばできます!(かなり面倒臭いですが…)

さて今回はここまでとなります。
すこしでも虚数,複素数について理解が深まっていただけたら嬉しいです!

「中高生にも分かる数学」では数学が苦手な人にも非常に分かりやすい記事を心がけています。
他にもいくつか記事があるので、ご覧いただけると嬉しいです!
では、また他の記事でお会いしましょう!