中高生にも分かる数学

他のサイトでよくある「数式で一般化した美しい数学」より「例題から理解してもらう親しみやすい数学」を目指しています。

素数が1つもない範囲は存在する?|素数砂漠

【対象年次:中学一年~】

みなさんこんにちは!
中高生にも分かる数学のお時間です。

今回は「素数」に関する話です!

みなさん、突然ですが、100番目の偶数は何か分かりますか?
そうです。200ですね。
100×2を計算すれば簡単に分かります。

では、100番目の素数は何か分かりますか?
そうです。541です。(即行グーグルで調べましたw)

このように、「〇番目の偶数」や「▢番目の3の倍数」などは計算で簡単に求められますが、
「何番目の素数」のように素数の話になると、急に難しくなります。

では、以下の式に自然数nを代入してみてください。

n^{2}-n+41

n=1のとき41
n=2のとき43
n=3のとき47

と、順番に試していくとこれらの値はすべて素数になります。

すごい!これは素数生成マシーンだ!と思いますよね?
この式は「オイラー素数生成式」と呼ばれ、確かにたくさんの素数を生成できる式として有名です。
ですが、この式も完璧ではなくn=41n=42のときは素数ではない数が生成されてしまいます。

さて、みなさんも薄々気付いているかと思いますが、素数の出現に絶対的なルールを見つけることは難しいです。
そうかもしれないし、そうではないかもしれない。

では、素数に関して「絶対に〇〇」と言えるようなルールはないのでしょうか?

…結論から言うと、普通にあります

今回はそんな素数絶対に存在しない区間「素数砂漠」についてお話ししたいと思います!


まず、nの階乗についておさらいしましょう。
nの階乗n!と表され、

n! = n(n-1)(n-2)…3\times2\times1

となるのでしたね。

これは高校一年生で習いますが、定義は中学一年生でも簡単に理解できると思います。
例えば4!=4×3×2×1=24という感じです。

そしてこのn!は、1~nまでのすべての自然数で割り切れるという性質を持っています。
これは当たり前で、n!1からnまでの自然数を順番にすべてかけ合わせて計算するからです。

ではこれを踏まえたうえで、このような数たちを考えてみるとどうでしょう?

n!+2, n!+3,..., n!+(n-2), n!+(n-1), n!+n

ごちゃごちゃしていますが、これはn!2~nまでそれぞれ足した値です。
ではこれらの数の中に素数はあるでしょうか?

実は1つもありません。

なぜなら、n!2からnまでのすべての数で割り切ることができ、

n!+2=2×(\frac{n!}{2}-1) ←2の倍数
n!+3=3×(\frac{n!}{3}-1) ←3の倍数
…
n!+(n-2)=(n-2)×(\frac{n!}{n-2}-1) ←(n-2)の倍数
n!+(n-1)=(n-1)×(\frac{n!}{n-1}-1) ←(n-1)の倍数
n!+n=n×(\frac{n!}{n}-1) ←nの倍数

となるからです。(2以上の何らかの倍数である数は、素数ではありませんね!)

というわけで、
n!+2以上、n!+n以下である自然数の中には素数であるものは1つもなく、

 n!+2≦N≦n!+n

の中には絶対素数が存在しない、ということになります!

そして、この区間の長さ(広さ?)はnを大きくすればするほど、長くなります。
nを大きくしていけば無限に長い素数のない「砂漠」を作り上げることができるという訳です!


いかがでしょうか?
このように絶対的なルールがないように見えた素数にも、一定のルールを見つけることができます。

さらに今回は解説しませんが、素数が絶対に存在する区間

 n<N≦2n

というものもあり、これもいずれ解説できたらなと思います!

「中高生にも分かる数学」では数学が苦手な人にも非常に分かりやすい記事を心がけています。
他にもいくつか記事があるので、ご覧いただけると嬉しいです!
では、また他の記事でお会いしましょう!