中高生にも分かる数学

他のサイトでよくある「数式で一般化した美しい数学」より「例題から理解してもらう親しみやすい数学」を目指しています。

互いに素な数の「和」と「差」の性質

【対象年次:中学一年~】

みなさんこんにちは!
中高生にも分かる数学のお時間です。

今回は互いに素な2つの数の「和」と「差」の性質についてのお話になります。
その性質とは以下のようなものです。

自然数a,bが互いに素ならば、(a+b)はaともbとも互いに素である。
また、(a-b)もa,bと互いに素である。

ちなみに「互いに素」とはお互いに共通因数を持たないような数同士に対して使う言葉になります。
さて、この性質は色々な整数問題を解くのに非常に有用な性質ですが、
これは本当に正しいのか、証明していきたいと思います。

まずこの証明には「背理法」を用いることにしましょう。
背理法はその命題が間違っていると仮定して、その矛盾を示して間接的にもとの命題を証明することでした。

もとの命題が間違っているとすると、
「自然数a,bが互いに素なとき、(a+b)はaまたはbと共通因数を持つ」
となります。

ではまず(a+b)aが共通因数を持つとして、その共通因数をK(2以上の自然数)としましょう。
ここでKを2以上の自然数としたのは、K=1であればそもそも(a+b)aは共通因数を持つことにならないからですね!
「共通因数」とは2以上の自然数という条件があり、1は共通因数とは言えないのです。
さて、このとき
(a+b) = Kp (pは自然数)…式1
a = Kq(qは自然数)…式2
と表すことができます。ではこの2つの式の引き算をしてみましょう!

(式1の左辺)-(式2の左辺)=(式1の右辺)-(式2の右辺)
(a+b)-a=Kp-Kq
b=K(p-q)

もちろんaKを因数に持つことになりますよね。
そしてaより(a+b)の方が大きいのでp>qとなり、(p-q)自然数です。
しかしこれではb=K(p-q)なので、bKを因数に持つことになってしまいました。
これは「a,bが互いに素」に矛盾するので、(a+b)aが共通因数を持つという仮定が間違っていることが分かりましたね!

では、(a+b)bが共通因数を持つと仮定するとどうでしょう?
…実はこれも同じように証明することができます。
先ほどの証明のaにあたる部分をすべてbに置き換えて考えてみましょう。
同様に証明することができるはずです!

というわけで、
自然数a,bが互いに素ならば、(a+b)はaともbとも互いに素である。
ということが証明できましたが、
(a+b)ではなく、差(a-b)についてはどうでしょうか?

もちろんこの場合もa,bの大小関係に注意すれば和のときと同様に証明することが可能です。
具体的には(a-b)を考えるときにはa>bという条件を付け加えれば自然数の範囲で共通因数を考えることができます!

さて、今回のまとめです。

自然数a,bが互いに素ならば、
(a+b)はa,bと互いに素であり、(a-b)もa,bと互いに素である。

ということが分かりましたね!
ちなみこの事実はほとんど自明(明らかに分かる)なので使う時はいちいち証明はしなくていいようです!

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他にもいくつか記事があるので、ご覧いただけると嬉しいです!
では、また他の記事でお会いしましょう!