中高生にも分かる数学

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次数下げと方程式|計算を楽にするテクニックを解説!!

【対象年次:中学三年~】

みなさんこんにちは!
中高生にも分かる数学のお時間です。

今回は中学生でも理解できる面白い計算のコツを解説したいと思います。
さて次のような二次方程式を考えてみましょう。

x^{2}+3x-5=0

本当に簡単な二次方程式ですね。
解の公式を使えば、

x=\frac{-3±\sqrt{3^{2}-4\times(-5)}}{2} = \frac{-3±\sqrt{29}}{2}

となることがわかりますね。
ではこの解のうち大きいものをαとしましょう。すると、

 α=\frac{-3+\sqrt{29}}{2}

となりますよね。(-よりも+の方が大きいですね)
ではこのαを2乗,3乗,4乗,…するとどのような数になるかわかるでしょうか?

「そんなもの計算すればわかる」ですって?
確かにその通りですがかなりα自体が複雑なので計算ミスしそうですよね…
では、α^{2},α^{3},α^{4},…を簡単に計算する方法について考えてみましょう。

まずα2次方程式
x^{2}+3x-5=0
の解であるということで、x=αを代入しても方程式は成り立ちます。

α^{2}+3α-5=0

では移項して次のような式に変形できますね。

α^{2}=-3α+5

なんと、このように変形することでα^{2}αを2回かけるというめんどくさい計算なしに求めることができるようになりました!
このようにα^{2}αだけの式に書き換えることを「次数下げ」といいます。

では、次はα^{3}についてはどうでしょうか?

さきほど得られた式
α^{2}=-3α+5
の両辺にαをかけてみましょう。
α^{3}=-3α^{2}+5α
この式の右辺にさらにα^{2}=-3α+5を代入してみましょう。
α^{3}=-3(-3α+5)+5α
α^{3}=9α-15+5α
α^{3}=14α-15
となります。
驚くことに、α^{3}αの一次式(最大次数が1の式ということです)になりました!

ということはα^{4}も…?
α^{3}=14α-15
の両辺にαをかけると、
α^{4}=14α^{2}-15α
同じくこの式の右辺にα^{2}=-3α+5を代入すると
α^{4}=14(-3α+5)-15α
α^{4}=-42α+70-15α
α^{4}=-57α+70

…やっぱりα^{4}αの一次式になりました!
α^{2},α^{3},α^{4},…と累乗の指数が大きくなるにつれて右辺の式は複雑になっていきますが、
これを繰り返すと5乗,6乗,…についてもαの一次式で書けることがわかりますね。
この操作によってα^{n}αの1次式まで次数を下げることができるわけです!

というわけで分数,無理数を含む複雑な実数の累乗を簡単に計算する「次数下げ」という方法についてでした。

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では、また他の記事でお会いしましょう!